中古品の売買を行った場合には、古物台帳(帳簿)の作成・保存が義務として求められます。盗品の流通を防止するために、取引を行った日付や古物の特徴、相手方の氏名等を帳簿等に記録し、3年間保存しておく必要があります。
本記事では、古物取引の記録方法にあたって注意点を解説いたします。
古物台帳の作成・保存について
古物営業法 第16条 (帳簿等への記載等)
古物商は、売買若しくは交換のため、又は売買若しくは交換の委託により、古物を受け取り、又は引き渡したときは、その都度、次に掲げる事項を、帳簿若しくは国家公安委員会規則で定めるこれに準ずる書類(以下「帳簿等」という。)に記載をし、又は電磁的方法により記録をしておかなければならない。ただし、前条第二項各号に掲げる場合及び当該記載又は記録の必要のないものとして国家公安委員会規則で定める古物を引き渡した場合は、この限りでない。
一 取引の年月日
二 古物の品目及び数量
三 古物の特徴
四 相手方(国家公安委員会規則で定める古物を引き渡した相手方を除く。)の住所、氏名、職業及び年齢
五 前条第一項の規定によりとつた措置の区分(同項第一号及び第四号に掲げる措置にあつては、その区分及び方法)
古物営業法16条において、取引記録(古物台帳の作成)をしておくことが義務づけられています。なお、「前条第二項各号に掲げる場合及び当該記載又は記録の必要のないものとして国家公安委員会規則で定める古物を引き渡した場合」はこの限りではないと定められており取引義務が免除されます。
以下にて、記録義務が課されているものを掲載いたしますのでご確認ください。
| 対価の総額 | 買取 | 売却 |
|---|---|---|
| 1万円以上 | すべての古物 | ・美術品類 ・時計・宝飾品類 ・自動車とその部分品 ・自動二輪車、原動機付自転車およびそれらの部分品 |
| 1万円未満 | ・自動二輪車、原動機付自転車およびそれらの部分品 ・家庭用ゲームソフト ・光学的方法により音または映像を記録したもの(CD、DVDなど) ・書籍 | ・自動二輪車本体、原動機付自転車本体(それらの部分品は除く) |
古物商許可取得後の義務について、詳しく知りたい方はこちらの記事をご確認ください!
記録の方法について

帳簿等に記録することとされている事項は「取引の年月日」 「古物の品目及び数量」「古物の特徴」「相手方の住所、氏名、職業及び年齢」「相手方の身分を確認した方法」の5つです。
具体的には、以下の内容をまとめておく必要があります。
受入れの場合
・取引の年月日・区別・取引した古物の品目や特徴・数量
・取引の相手方の住所、氏名、職業、年齢
・相手方の身分確認の記録
払出しの場合
・取引の年月日・区別・取引した古物の品目や特徴・数量
・取引の相手方の住所、氏名
それぞれの記載内容について詳しく見ていきましょう(別記様式第15号参照)
※帳簿の記載方法として紙媒体だけでなく、Excel等に入力して保存しておくことができます。
区別について
「受入れ」の「区別」欄には、買受け又は委託の別を記載します。
「払出し」の「区別」欄には、売却・委託に基づく引渡し又は返還の別を記載すること。
古物の品目について

品物の種類について記載します。「軽自動車」「腕時計」「衣類」のように品名を記載します。品目については、原則として、一品ごとに記載する必要がありますが、同一種類の製品で、区別しにくいものは、一括して記載することができます。(例:文庫5冊、コミック6冊等)
古物の特徴について
メーカー名やブランド名、色や材質、保存状態など、品物を特定する事項を記載します。
衣類にあっては「上衣、シングル、鈴木のネーム入り、チョッキ、ねずみ色裏付き、ズボン、後ポケットふたなし」、時計にあっては「オメガ、何型、何番、文字板に傷あり」などになります。
自動車に関する取引の場合は自動車検査証に記載され、又は記録された自動車登録番号又は車両番号、車名、車台番号及び所有者の氏名又は名称等の必要な事項を記載する必要があります。
「相手方の身分の確認方法」とは

相手方の氏名や住所の確認を取った書類の種類や内容について記載しておきます。「運転免許書 ◯◯公安委員会 第▲▲▲▲号」「マイナンバーカード ◯◯市長発行」「国民健康保険被保険者証 ◯◯発行」などです。
罰則について
古物営業法第33条第2号第3号
次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
二 第十六条又は第十七条の規定に違反して必要な記載若しくは電磁的方法による記録をせず、又は虚偽の記載若しくは電磁的方法による記録をした者
帳簿に必要な記録をしなかった場合には罰則規定もあります。行政処分として指導が入り、営業停止になってしまう可能性もあるため、帳簿は必ずつけるようにしましょう。
まとめ

申請書類の記載内容に誤りや不備があると、再度提出が必要になります。また、平日に最低2回警察署へ行く必要があるため、普段の業務を行いながら時間を作ることはかえって時間がかかってしまいます。
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